6.平成1 9年度計画
6-1 大学共同利用機関法人自然科学研究機構年度計画(平成1 9年度)
(V I 以降を省略)
I 研究機構の教育研究等の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置
1 研究に関する目標を達成するための措置
(1) 研究水準及び研究の成果等に関する目標を達成するための措置
大学共同利用機関法人自然科学研究機構(以下「本機構」という。)は,天文学,物質科学,エネルギー科学,生 命科学等(以下「各分野」という。),自然科学分野における研究所等(本機構が設置する大学共同利用機関をいう。 以下同じ。)の役割と機能を一層充実させる。
また,各分野間の連携を積極的に行い,学際的・国際的研究拠点形成を目指す。 研究所等で得られた研究成果を,国内外の学会等において積極的に公表をする。
研究所等に置かれた運営会議は,共同研究計画に関する事項,研究者人事等に関する事項,組織の改編に関する事 項及びその他研究所等に関する重要事項で研究所長等が必要とする事項について諮問を受け,答申する。
各分野において研究の進展,公表の状況,研究者等の大学や研究機関との交流の状況等をまとめ,研究水準・成果 の検証を行うため,外部委員を含む委員会で自己点検を行う。
各分野の特記事項を以下に示す。
(国立天文台)
広範な天文学分野において,大型観測装置や各種観測装置を用いた観測的研究,高速計算機を用いたシミュレーショ ン解析も含んだ理論的研究を推進するとともに,新たな観測装置やソフトウェアの開発研究を推進する。
特記する項目として以下のものがある。
① ハワイ観測所においては,重点プログラムとして宇宙論,銀河形成と進化及び太陽系外惑星等の観測的研究を推 進すると共に,次世代観測装置の開発研究を推進する。
② 野辺山宇宙電波観測所においては,45m ミリ波望遠鏡に搭載されたマルチビーム受信機等により,銀河,星形成 領域,星間物質の観測的研究を推進する。
③ 国際協力事業として,平成16年度に開始したアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(以下「アルマ計画」という。) の建設を引き続き推進する。特に,アンテナ,相関器及び受信機の製作等を引き続き行うとともに,ここまでに製 造を完了した装置を使用して部分運用を開始する。
④ 情報処理技術とデータ利用技術を天文学に融合したバーチャル天文台の機能及び天文データセンターの内容を充 実し,国内外の研究者との連携を推進する。
⑤ 宇宙航空研究開発機構と協力して太陽観測衛星「ひので」の運用及び月探査衛星 S E L E NE の飛翔実験・運用を行 うとともに,超長基線電波干渉計(以下「V L B I」という。)観測衛星 A S T R O - G の設計検討を進める。将来の位置 天文衛星,太陽系外惑星探査衛星等の実現に向けて検討を進める。
⑥ 北海道大学,岐阜大学,山口大学,鹿児島大学及び宇宙航空研究開発機構並びに情報通信研究機構等との連携に よる国内 V L B I 観測網による観測を推進する。東アジア V L B I 観測網(中華人民共和国,大韓民国)構築のため開
発研究を国際連携で推進する。また,天文広域精測望遠鏡(V E R A )による高精度位置天文観測を推進する。 広島大学,東京工業大学等と光赤外線望遠鏡を使用した共同研究を推進すると共に,新観測装置の開発を推進する。 京都大学,名古屋大学等と新たな望遠鏡建設に向けた基礎技術開発を行う。また,次世代超大型光赤外線望遠鏡及び 次世代宇宙望遠鏡を国際協力で建設する可能性について検討を進める。
会津大学,岩手大学,宇宙航空研究開発機構と共同して,次期月探査,惑星探査計画の立案,基礎開発を行う。
⑦ 暦を決定する業務を実施し,暦象年表を発行するとともに,暦要項を一般公衆に広く公表する。
⑧ 高精度時刻維持により協定世界時の決定へ寄与する。また,インターネットへの時刻基準提供サービスを行う。
(核融合科学研究所)
制御熱核融合の実現を目指した核融合科学とその基盤となるプラズマ物理学,炉工学などにおいて,学術的体系化 を図り,世界に先駆けた成果を上げる。
① 大型ヘリカル装置(以下「L H D 」という。)の性能を最大限に発揮させ,環状プラズマの総合的理解と核融合炉 心プラズマの実現に向けた学術研究を行うため,今年度は特に次の事項を中心に研究を進める。
1.プラズマ加熱機器の整備・増強,改良を進めることにより,プラズマと磁場の圧力の比の大きいプラズマ,入 力エネルギーの大きい長時間放電プラズマ,平均電荷数の小さい高イオン温度プラズマ等,L HD プラズマの高性 能化を目指し,関連する学術研究を行う。
2.プラズマの詳細な分布が得られる計測機器の整備・増強,改良を進め,プラズマの高性能化に必要なデータの 取得に努める。
3.プラズマ制御法を工夫し,L HD プラズマの高性能化を目指す。
② プラズマの高性能化に必要となる物理機構の解明等を,研究所や大学・附置研究所・センターの装置・設備を有 機的に活用し,双方向型共同研究として進める。具体的には,次のように行う。
1.筑波大学プラズマ研究センター,京都大学エネルギー理工学研究所附属エネルギー複合機構研究センター,大 阪大学レーザーエネルギー学研究センター及び九州大学応用力学研究所炉心理工学研究センターと本研究所の間 で双方向型共同研究を推進する。また,双方向型共同研究の一環としてセンターが持った全国共同利用の機能に より,センターと全国の大学等との共同研究のさらなる活性化を図る。
2.双方向型共同研究の研究推進基盤をさらに強固にするため,必要な装置の整備等を研究者コミュニティの意見 も反映させて進める。
3.さらに,閉じ込め改善を実現するための先進的な磁場配位を持つ新規実験装置の検討を,研究者コミュニティ の共通の課題として進める。
③ 核融合プラズマ閉じ込めの物理機構解明とその体系化及び複雑性の科学を探究するため,プロジェクト研究体制 を組織し,特に次の研究を実施する。
1.L H D 等の環状系プラズマにおける,コアプラズマの一流体 M H D モデルから二流体モデルへの拡張研究,周辺 プ ラ ズ マ 領 域 の 微 視 的・ 巨 視 的 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン 研 究, 高 エ ネ ル ギ ー 粒 子 - M H D 間 相 互 作 用, ペ レ ッ ト - MHD 間相互作用,微視的乱流輸送のシミュレーション研究,階層統合シミュレーションコードの基礎開発を行う。 2.コーン付ターゲットを用いた高速点火レーザー核融合における加熱用レーザー・コーン間相互作用の粒子シミュ
レーションの大規模・多次元化を進める。
3.マルチスケールシミュレーションのための新しい数値アルゴリズムの開発を行う。
4.グラファイトへ水素を照射した際の過程を解析するためのシミュレーションモデルを構築する。
④ 引き続きヘリカル炉設計,ブランケット,超伝導,安全技術に関する研究を進め,所内の連携を深めるとともにネッ トワークを通じて所外研究者との連携を強化する。
1.炉工学・炉設計連絡会議及びネットワーク等における所外研究者との討論を通じ,研究成果の集約を図るとと もに,学術的体系化を進める。
2.連携研究推進のための組織の活動を一層活発化し,他分野との研究連携や産学連携を視野に入れた幅広い工学 研究の進展を推進する。
⑤ 共同研究の中心機関として,各種コードを活用し,プラズマ中の基礎及び複合過程の研究等を行うとともに,原 子分子データ及びプラズマ-材料相互作用データ等の基礎データの収集・評価等を行う。
(基礎生物学研究所)
細胞生物学,発生生物学,進化多様性生物学,神経生物学,環境生物学,理論生物学,イメージング・サイエンス 等の基盤研究をさらに強化発展し,独創的で世界を先導する研究を創成,推進するとともに生物学の新しい展開を目 指した基礎生物学研究者コミュニティの形成を促進する。
① 光生物学研究の推進を図るために,波長可変レーザー等の導入に向けて機種選定を行う。メダカのバイオリソー スの中核機関として活動できるように専任教育研究職員の配置とともに,体制の構築と整備を行う。
② 実験生物学者,理論生物学者の集う研究会の開催により共同研究を推進する。
③ モデル動植物バイオリソース開発を引き続き推進するため,飼育・育成施設などを近代化し,系統維持の効率化 を図る。メダカについて引き続き遺伝子導入系統の作出を行う。
④ バイオイメージング研究のアドバイザリー委員会の答申に基づいて,新規の顕微鏡開発に向けた体制作りを行う。
(生理学研究所)
分子生物学,細胞生理学,生物物理学,神経解剖学,神経生理学,神経発生学,感覚情報生理学,認知行動学,病 態生理学等広範な生理学分野及び関連分野において,ヒト及び動物の生体の機能とメカニズムを解明するため,共同 研究を含む世界的に高水準な研究基盤を発展強化する。
① 機能的磁気共鳴画像診断装置(fM R I)や脳磁計等の脳イメージング技術を用いて,ヒト・霊長類の高次脳機能の 解明に取り組む。障害時の代償機構や社会能力の発達に関する研究を進める。
② 位相差電子顕微鏡,質量顕微鏡等の超分子機能解析技術の向上を図る。バイオ分子センサーの超分子的メカニズ ムの研究を推進する。
③ 恒常性維持あるいは病態の基礎・原因となる分子・細胞メカニズムの基盤的研究を進め,発達,病態におけるこ れら分子群の生理学的意義に関する研究を進める。
④ 大脳皮質,大脳基底核,視床等における神経回路の機能,グリアの働き等を,多面的に解析する。脱髄,てんか ん等の神経疾患モデル動物の病態解析を進める。
(分子科学研究所)
分子科学分野において,X線から電波に及ぶ広い波長範囲の電磁波,電子線,磁場等の外場,極低温等を利用する 最先端の物理化学的実験法,分子物質の設計・合成手法,理論的手法や超高速計算機によるシミュレーション等を駆
使し,分子及び分子集合体の構造・機能とダイナミクス,生体機能の解明等に関する実験研究並びに理論研究を行う。
① 理論・計算分子科学研究領域を中心に理論分子科学の研究を展開する。特に,機能性分子や分子機能の開発と制御, 統計力学理論と蛋白質計算,光誘起現象などの研究をさらに展開していく。
② 光分子科学研究領域,物質分子科学研究領域,生命・錯体分子科学研究領域の連携によって,表面やナノ物質の 光学的性質と励起ダイナミクスを解明する新しい実験手法の発展とその利用を進める。また,低侵襲的イメージン グ手法の更なる発展,分光法や N M R を用いた蛋白質機能の解明等の生体分子分光学的研究とそのための新しい実 験手法の開発を行う。
③ 光分子科学研究領域を中心として,分子制御レーザー開発研究センター,極端紫外光研究施設と連携し,特徴あ る光源を開発して,分子のコヒーレンス観測制御法の様々な分子システムへの適用,種々の高分解能極紫外・軟X 線分光法のその場化学状態分析への応用などの研究を進める。
④ 物質分子科学研究領域を中心に,有機太陽電池の開発,新規非平面共役分子の開発,分子性伝導体の競合基底状 態の解明,配向試料用新規固体 NMR 測定法の開発,超高速ナノ磁性ダイナミックス,新規金クラスター触媒の開発, 低次元機能性ナノ構造体の開発及び擬似1次元巨大分子の開発等を目標に研究を進める。
⑤ 理論・計算分子科学研究領域,計算科学研究センターを中心に,分子動力学法等に対する巨大計算のための超並 列計算アルゴリズムや計算プログラムの開発をさらに進め,巨大系や複雑系,複合系に対する分子科学研究を引き 続き行う。
(2) 研究実施体制等の整備に関する目標を達成するための措置
① 本機構の研究連携委員会及び研究連携室において,研究所等間の研究連携並びに研究交流の促進を図る。また, 研究連携室の主導で,機構内分野間の連携による新分野形成に向けた活動を実施するとともに,これまでの進展状 況の検証を行い,さらなる活動の強化を図る。
② 知的財産委員会及び利益相反委員会において,知的財産の創出・取得・管理・活用を積極的に行うためのシステ ムの整備を行う。
③ 各研究所等は,自己点検,外部評価を実施し,研究の質の向上に努める。
④ 各研究所等は,ポストドクトラル・フェローシップを維持して,引き続き若手研究者の育成に努める。
⑤ 他研究機関,大学,企業との研究者交流等の促進のため,分野間連携に係るシンポジウム等,引き続き広く開放 された研究会等を企画・実施する。
⑥ 各分野間連携の進展を目指して,岡崎統合バイオサイエンスセンターでは,膜蛋白質・生命環境等を統合的に捉 えるバイオサイエンス研究を発展させ,研究所等間及び他研究機関との研究連携を引き続き強化する。
各分野の特記事項を以下に示す。
(国立天文台)
① プロジェクト研究の推進に関して適切な責任と計画性を発揮できる体制としての,プロジェクト室等の充実を図 る。
② プロジェクト室等の外部評価を開始する。プロジェクト室等の成果発表会を開催して,計画の進捗状況を自己点 検すると共に,外部委員も含む研究計画委員会により評価を行う。また,財務委員会により,プロジェクトの研究 計画の妥当性,進捗状況等を審査して予算配分を行う。
③ 基盤的研究や個人の自由な発想に基づく研究を推進する体制の充実を引き続き図る。
(核融合科学研究所)
① 中期計画を確実に遂行するため,これまでに見直しを行った大型ヘリカル研究部などの組織では更なる研究体制 の充実を図る。更に,集約的研究成果を生み出すため,柔軟かつ有機的な運営が可能な組織を目指して,理論・シミュ レーション研究センターと計算機・情報ネットワークセンターを改組統合し,シミュレーション科学研究部を創設 する。
② 大学等との連携協力体制の強化に加え,大学等における研究への支援体制を強化する。また,本機構内の連携研 究と産業界との共同研究の促進,研究支援体制の強化を図り,今後の展開に対応できるよう円滑な運用を行う。
③ 慣性核融合研究分野での連携協力を進めるため,以下のとおり実施する。
1.大阪大学レーザーエネルギー学研究センターと共同で,レーザー核融合の連結階層シミュレーション研究を推 進する。
2.大阪大学レーザーエネルギー学研究センターと共同で高速点火実験用クライオターゲットの研究開発を引き続 き行う。
④ 連携研究推進センター学術連携研究室国際連携研究部門を中心に国際共同研究支援を行う。
(基礎生物学研究所)
① 連携・広報企画運営戦略室を中心として,所内の研究グループ間の共同研究を促進するための仕組みを検討する。
② 研究の発展が著しい研究部門に,所長のリーダーシップにより,非常勤研究員等の配置や傾斜的な経費配分を行 うなど,特に配慮した支援を継続して行う。
③ 萌芽的な研究テーマについて,基礎生物学研究所研究会などを年に数回開催して,研究者間の情報交換,共同研 究を促進する。
④ 「重点共同利用研究」の推進のため公開の研究会を開催する。また,EMBL(欧州分子生物学研究所)との共 同研究事業の一環として国際シンポジウムを2回開催する。
(生理学研究所)
① 新領域開拓を目指す討論の場として生理学研究所研究会等を開催する。顕著な成果をあげた若手研究者に,研究 推進のための支援を行う。
② 発展が期待される研究テーマを,広く公募して一般共同研究として設定するとともに,重要と考えられる領域に は計画共同研究を設定する。「バイオ分子センサー」事業を強力に推進し,その成果を発信する。
③ 新たな研究領域の開拓を検討するために,企画立案委員会(仮称)を設置する。行動・代謝分子解析センターの 充実のため,新たに行動様式解析室を設置する。
(分子科学研究所)
① 専任的客員部門である先導分子科学研究部門は,これまで担当してきた N M R 利用研究を生命・錯体分子科学研 究領域の専任教授部門(岡崎統合バイオサイエンスセンター兼務)に移行することとし,新たに物質分子科学研究 領域での研究を担当することとする。
② 研究系及び施設を4大研究領域にまとめ,各研究領域内での協力体制と領域間の連携体制の確立を図る。特に計 算分子科学と分子理論の融合研究,レーザー及び放射光を活用した新しい光分子科学の開拓を強化する。また,大 学共同利用機関として様々な形態での大学との相互の協力関係を強化する。
2 共同利用等に関する目標を達成するための措置
(1) 共同利用等の内容・水準に関する目標を達成するための措置
① 引き続き,共同利用・共同研究(以下「共同利用等」という。)の内容や水準を向上させるための基本的方策(募 集の内容,周知の方法,フィードバックシステムを含む)を策定し,具体的運営に関して,運営会議に諮りつつ推 進する。
② 大型の装置や施設を活用した共同利用等を推進する。また,共同研究の相手方機関の設備・研究環境も活用でき るよう,必要に応じて本機構研究者を派遣する等,双方向性のある研究体制の整備を更に進め,実施する。
③ 共同利用公募に関して,必要分野ごとの審査委員会の審査によりテーマを採択する。共同利用等の運用全般につ いて外部委員を含む委員会で,検証し運用に反映させる。
④ 国際戦略本部及び各研究所等において,各分野の国際的窓口機能を向上させ,国際共同研究及び国際協定に基づ いた様々な研究活動の積極的な展開を図るとともに,成果の分析等によって,国際協力活動を強化する。
⑤ 共同利用等の実施,募集,成果等について,ホームページ等を通じて情報公開を積極的に行い,新たな利用者や 研究者の発掘に努め,利用者の便宜を更に図る。
⑥ 情報ネットワーク等インフラストラクチャーの改善を行い,引き続き共同利用等の環境整備を行う。また,分子 科学研究所においては,化学系研究設備有効活用ネットワークの各地域拠点・全国拠点の組織化に向けた活動を行 う。
⑦ 各分野の研究者コミュニティの参画を得て,引き続き利用者の要望を一層取り入れた共同利用等の計画の具体的 検討を行う。
⑧ 分野間連携における学際的・国際的研究拠点の形成に向けた共同利用等を,引き続き実施するとともに,国内外 との共同利用等を通じて学際的な研究を推進する。
⑨ 引き続き,高度な実験装置・観測装置の開発整備,増強,改良を進め,共同利用等に提供する。
各分野の特記事項を以下に示す。
(国立天文台)
① ハワイ観測所,野辺山宇宙電波観測所,野辺山太陽電波観測所,水沢 V E R A観測所,岡山天体物理観測所,太陽 観測所,天文データセンター,天文シミュレーションプロジェクト,先端技術センターは,活発で円滑な共同利用 等のための体制を整え,運営に当たる。観測計画等は,広く国内外に公募し,運営会議の下に置かれた関連専門委 員会において,透明性が高く厳正な審査を実施し,高い科学的成果が期待される観測計画等を採択する。
② アルマ計画について,欧米との協力を図り,国内コミュニティの協力を得ながら,引き続き建設を進めていく。 また,東アジア地域におけるアルマ計画での協力関係の確立に向けて協議を進める。
③ 「S ol ar- B 科学センター」(仮称)において,「ひので」衛星により取得された科学データを共同利用に供して,科 学的成果の促進を図る。
④ 東アジア V L B I 網計画のために設立された国際委員会(日本,中華人民共和国及び大韓民国)などを通じて積極 的に国際協力を進める。
⑤ 系外惑星探査プロジェクトの国際共同研究開発を推進する。
(核融合科学研究所)
① L HD などの実験装置を用いた共同利用・共同研究を推進するために,環境を整備する。特に次のような点につい て整備を図る。
1.共同研究の成果報告会等を行い,研究内容を広く公開し,共同研究に関する委員会の審査に反映させる。これ により,研究水準の向上を図る。
2.共同研究の採択審査時に,実験実施の可能性も含め,L HD 実験の実施責任者の意見を求め,共同研究者が実験 に参加し易いようにする。一旦共同研究として受け入れた後は,遠隔実験参加システムやメールの活用により, 所内と同等に近い研究環境を提供し,共同研究の更なる発展を図る。
② 大型シミュレーション研究を推進するため,以下の事項を推進する。
1.大型シミュレーション研究を一つの学際分野として確立することを目指し,理論・シミュレーション研究セン ターと計算機・情報ネットワークセンターを統合し,新しく,シミュレーション科学研究部を発足し,共同利用・ 共同研究を推進する。
2.階層繰り込みシミュレーション等に基づくシミュレーション科学を国内外の共同研究を基本として幅広く推進 する端緒として,シンポジウムを開催する。
3.核融合分野のシミュレーション環境を向上させるため,全国の核融合シミュレーションに標準的なコードを基 に,総合的に計算機の性能を評価できるベンチマーク手法を整備する。
③ 実験・理論双方で基礎プラズマ科学研究を推進する体制の充実を図るとともに,共同研究委員会の下に組織され た研究会や作業会を計画的に開催し,核融合に関するデータの収集,研究者間の情報交換の迅速化,若手研究者・ 大学院学生の育成等を図る。
④ 炉工学研究棟(仮称)の整備を進め,共同研究に利用しやすい環境を整えるとともに,流動ループ等ブランケッ ト研究を進めるための新規設備導入を図る。また,大学等の研究設備の拡充と有効活用,人材の相互交流を推進し, 炉工学実験設備の共同利用機能の活性化を図る。
(基礎生物学研究所)
① 波長可変レーザー照射システムの導入を進める。
② 生物学の新領域の開拓を目指して,引き続き OB C (Okazaki B iology C onference)を開催する。
③ 培養育成施設などの研究支援施設の組織体制の見直しを行う。
(生理学研究所)
① 明大寺地区の地下動物飼養保管施設の S PF 化(S pecific Pathogen F ree;特定病原体不在)を完了する。
② 計画共同研究の一環としてトランスジェニックラット,遺伝子ノックアウトマウスを作製する。新しいノックア ウトラットの作製法等の技術開発を行う。
③ ナショナルバイオリソースプロジェクト(NB R )「ニホンザル」を強力に推進するために,新たに NB R 推進室(仮 称)を設置する。また,実務体制を強化し,ニホンザルの供給事業を本格化させる。
(分子科学研究所)
① 分子制御レーザー開発センターと極端紫外光研究施設において先端的光科学研究設備を整備して高度な共同利用 等を推進する。
1.レーザー分子科学において,理化学研究所とのエクストリーム・フォトニクス連携事業や国内外の共同研究の 強化を図る。
2.放射光分子科学において,小型放射光施設として世界最高輝度光源の開発研究を進め,分光装置の高分解能化 を図る。
② 「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用—ナノ分野グランドチャレンジ研究—」の研究開発 を推進する。また,計算科学研究センターに導入した超高速分子シミュレータを中心に大規模分子科学計算の全国 共同利用と共同研究を強化する。
③ 先端的分光分析・物性評価設備の充実を図るとともに,高度な共同利用等を推進するための支援体制を強化する。 1.装置の有効利用を図るために機器センターを設置し,所内の中型共用機器の集中管理と全国共同利用の円滑化
を図る。また,「化学系研究設備有効活用ネットワーク」の発足に当たり,機器センターにその本部を設置し, 全国的な研究設備相互利用システムの管理を行う。
2.微細加工などの要素技術の更なる高度化に加え,エレクトロニクスの回路設計評価技術など,多様化する先端 的な分子科学研究共同利用を技術支援する体制を整備する。
(2) 共同利用等の実施体制等に関する目標を達成するための措置
本機構全体として,活発な共同利用等の実施体制に関して以下のような措置をする。
① 共同利用等に供するための機器開発を行える環境を引き続き整備し,大学・学会等と広く協力して,共同利用等 の計画の採択,実施体制の検討を行うために,外部委員を含んだ委員会において,資源配分の公平性と透明性の向 上を図る。
② 共同利用等の計画の採択の際に萌芽的研究の推進の観点も充分考慮する。
③ 共同利用等の成果は,学術雑誌,出版物,ホームページ等の多様なメディアを活用して公表する。
④ 引き続き共同利用等の外部評価を行うとともに,その結果について,今後の運用に反映させる。
⑤ 技術職員の技術力向上のため,引き続き研修等の充実を図る。
⑥ 特別共同利用研究員等若手研究者に対する研究支援を強化する。
⑦ 共同利用者用の宿泊施設について,引き続き付帯設備等の充実を検討し利便性の向上を図る。
⑧ 国内外の共同研究者に対して実験・観測データの公開を進める。
各分野の特記事項を以下に示す。
(国立天文台)
新たな共同利用施設の構築を目指してアルマ計画を継続して推進する。
(核融合科学研究所)
共同利用・共同研究の双方向型共同研究,L HD 計画共同研究,一般共同研究の3つのカテゴリーを利用して,共同 利用・共同研究をより活発に推進する。具体的には,本研究所と大学等の間で共同研究契約を結んで行う双方向型共
同研究,大学等で育まれている各種の研究,技術等を L H D 実験に適用・集約するため,大学等で先ず行う L H D 計画 共同研究,大学等からの研究者が本研究所の設備を使って行う一般共同研究により,本研究所を中心とした種々の形 態の共同利用・共同研究に対応する。
3 教育に関する目標を達成するための措置
(1) 大学院への教育協力に関する目標を達成するための措置
① 総合研究大学院大学の教育に積極的に参加するなど,大学院教育を実施する。総合研究大学院大学の5年一貫制 大学院教育等によって,自然科学の広い視野と知識を備えた若手研究者の育成を推進する。また,大学院教育を検 討する組織を機構に設置する。
② 8専攻の教員約330名が学生170名に対し,講義,単位認定,学位授与に加えて,各種セミナーによる総合的 大学院教育を行う。
③ 東京大学大学院理学系研究科,名古屋大学大学院理学研究科,同工学研究科,北海道大学大学院工学研究科等と の間で,緊密な連携のもとに大学院教育を行う。
④ 各研究所等の研究教育職員は,要請に応じて特別共同利用研究員として学生を受託し,大学院教育を行う。(平 成19年度は,100名程度)
⑤ 約160名の大学院生をリサーチアシスタントとして採用し,高度な研究能力を備えた研究者の育成を行う。
⑥ 大学及び総合研究大学院大学の他専攻との単位互換制度を継続する。
⑦ カウンセリングを相談窓口で実施する。
(2) 人材養成に関する目標を達成するための措置
本機構は以下のように,各種ポストドクトラル・フェローシップを整備し,若手研究者の育成と流動化の促進に一 層努める。
① ポストドクトラルフェローの進路先について調査する。
② ホームページなどで求人(公募)一覧を掲載するなど,広い分野から人材発掘を可能にするように取り組む。
③ 引き続き,外部資金獲得に努めるとともに,大学院生・博士号取得者の支援を充実させる。
各分野の特記事項を以下に示す。
(基礎生物学研究所)
引き続き国際トレーニングコースを実施する。
(生理学研究所)
生理科学分野の実験技術の向上を目指し,第18回生理科学実験技術トレーニングコースを開催する。
「夏の体験入学」や「アジア冬の学校」を引き続き実施し,研究教育体験を通じて,国内外の学部学生,大学院生 の人材育成や人材発掘を図る。継続的に実施することで研究所の研究活動を広く周知する。
4 その他の目標を達成するための措置
(1) 社会との連携,国際交流等に関する目標を達成するための措置
以下のように,社会との連携や国際協力等に関して具体的な計画を推進する。
① 本機構及び各研究所等のホームページ,広報誌等を更に充実するとともに,一般市民向けのシンポジウムを開催 して,本機構の活動内容や研究成果等を広く社会に発信する。
② 知的財産委員会及び利益相反委員会において,職員の知的財産・利益相反等に関する理解を深めるための活動を 行い,産学官連携を推進する。
③ 各種審議会や学会・地方公共団体の委員会等に積極的に参加する。講演会,ホームページ,各種資料等を通じて 広く一般社会への情報発信に努める。情報発信の状況及び効果についても調査を行う。
④ 一般市民向けの講演会を開催するとともに,スーパーサイエンスハイスクール及びサイエンスパートナーシップ プロジェクトの取り組み等に協力する。また,教員,各分野の専門家の生涯教育に貢献する。
⑤ 研究成果は学術雑誌に論文として発表するとともに,様々な情報発信媒体(ホームページ,パンフレット,解説 資料等)を通じて積極的に公表する。
⑥ 研究所等間の連携を考慮しつつ,国際シンポジウム・国内研究会を積極的に実施し,国内研究者の研究活動を更 に支援する。
⑦ 海外の国際的な中核研究機関との連携を強化するとともに,科学技術協力事業,二国間,多国間事業等,いろい ろなレベル・規模の国際共同研究事業を引き続き推進する。その状況を調査し年度報告として公表する。
⑧ 海外研究者や留学生等の受入れに関する情報の英語化等,広報活動の充実を図るとともに,生活環境の整備を行 う。
(2) その他
① 他の大学共同利用機関法人及び総合研究大学院大学と連携し,アクセス可能な電子ジャーナル利用を推進させ, 各分野の情報センターとしての機能を拡充する。
② 情報セキュリティに考慮しつつ,本機構,研究所等間のネットワーク等の効率的運用を推進する。
II 業務運営の改善及び効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置
1 運営体制の改善に関する目標を達成するための措置
① 本機構に設置された研究所長等を含む機構会議をほぼ毎月開催し,また,外部有識者からの意見も積極的に取り 入れ,機構運営の適切化を図る。
② 教育研究評議会,機構会議,研究連携委員会及び各研究所等の運営会議において,研究需要への対応や新分野形 成について引き続き検討する。
③ 経営協議会等における外部有識者の意見を踏まえ,業務運営の改善,効率化を行う。
④ 機構長のリーダーシップの下に戦略的な運営を図るための経費を引き続き措置する。
⑤ 研究所長等は,副所長,研究総主幹,研究主幹・施設長等とともに運営体制,研究体制及び共同利用体制の充実 を図る。
⑥ 分子科学研究所,基礎生物学研究所,生理学研究所では教授会議を毎月1回(8月を除く)定例で開催する。
⑦ 技術職員,事務職員の専門的能力の向上を図るため,研修年度計画を策定し,研修機会の拡充を図る。
⑧ 内部監査計画を策定し,計画的な内部監査を実施するほか,監査方法等の見直しを行い,内部監査機能の充実を 図るとともに,監事監査及び監査法人監査の結果を踏まえ,必要な改善を引き続き行う。
2 研究組織の見直しに関する目標を達成するための措置
① 各研究所等に設置された運営会議において,研究組織の自己点検及び外部評価を行い,教育研究評議会で意見を 聴取し,必要な場合は見直しを実施する。
② 外部委員を含む自己点検・評価の結果を踏まえ,研究体制について見直しを行う。
③ 各分野における基盤研究推進や共同利用推進に適した研究体制及びプロジェクト型研究に適した研究体制につい て,研究者コミュニティーの意見を踏まえた点検を毎年行う。
3 職員の人事の適正化に関する目標を達成するための措置
① 研究教育職員の採用は原則として公募制により実施し,その人事選考は外部委員を含む運営会議で行い,透明性・ 公平性の確保を図る。
② 各研究所等に適した任期制を継続して,研究教育職員の流動化・活性化を図る。また,分子科学研究所において は内部昇格禁止の制度を継続する。
③ 外国人研究者の採用を促進して,国際的な研究機関として広い視点を取り込む。
④ 事務職員について,大学,研究機関等との人事交流を継続する。
⑤ 技術職員及び事務職員の採用については,地区ごとに実施される国立大学等職員採用試験制度に参加するととも に,専門性の高い職種については,選考採用を実施する。
⑥ 技術職員及び事務職員に係る勤務評価制度の改善について引き続き検討を行う。
⑦ 「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)において示された総人件費改革の実行計画を踏まえ, 引き続き概ね 1% の人件費の削減を図る。
4 事務等の効率化・合理化に関する目標を達成するための措置
① 引き続き業務の見直しを行い,共通的な事務について集約化に関する検討を行うとともに,費用対効果の観点か ら事務の簡素化・合理化を進める。
② 経常的業務等について,費用対効果を勘案しつつ,外部委託の推進に努める。
③ 機構独自の人事・給与システムの導入により,事務の効率化及び情報化をより一層推進するとともに,事務情報 システムの基盤強化について引き続き検討を行う。
④ テレビ会議システムを活用し,業務打合せ等の効率化を図るとともに,事務の電子化によりペーパーレス化につ いて,引き続き検討する。
⑤ 文書管理月間を設定し,定期的な文書整理を行い,適切な文書管理を推進する。
III 財務内容の改善に関する目標を達成するためにとるべき措置
1 外部研究資金その他の自己収入の増加に関する目標を達成するための措置
① 引き続き,講演会の開催等により研究成果等の広報普及に努める。外部資金獲得のための情報収集に努めるとと もに説明会を実施する。
② 知的財産委員会及び利益相反委員会を中心に,各研究所等において,知的財産及び利益相反に関する知識・ルー ルの徹底を図る。
2 経費の抑制に関する目標を達成するための措置
① 引き続き電子ファイル,電子メール等を活用し,ペーパーレス化を促進するとともに,会議,連絡等に係る管理 部門における紙の使用量の削減に努める。
② 引き続き適切な室温管理等により,省エネルギー化を推進する。
3 資産の運用管理の改善に関する目標を達成するための措置
① 資産の運用管理を図るため,外部専門家の意見を聞き,積極的な資産活用を図る。
② 資産の有効活用・管理を図るため全資産の現物実査を行う。その際,資産の有効活用等の有無についても確認する。
IV 自己点検・評価及び当該状況に係る情報の提供に関する目標を達成するための措置
1 評価の充実に関する目標を達成するための措置
① 自己点検及び外部評価の結果に対する経営協議会,教育研究評議会の意見を踏まえて,機構会議及び運営会議に おいて具体的施策を検討する。
② 機構会議等において,中期計画等の見直しについて検討する。
2 広報及び情報公開等の推進に関する目標を達成するための措置
① 情報公開委員会において,情報公開法に基づく情報公開請求に適切に対応する。
② 本機構の広報担当者により,報道機関等への研究成果の公表を積極的に行う。
③ 国立天文台のアマチュア天文学者,天文愛好家向けの窓口活動を継続し,広報室を中心として情報の提供方法を より工夫する。三鷹ネットワーク大学を活用して,地域社会への情報発信,生涯教育に努める。4次元デジタル宇 宙ドームシアターの公開を支援する。
生理学研究所に広報展開推進室(仮称)を設置し,「 人体のしくみ 」 等に関する学術情報発信活動と理科教員や 国民への窓口活動を行う。
④ 本機構の諸活動について情報発信するためのホームページや広報誌等を更に充実させる。ホームページのアクセ ス数は,機構全体で年間2,000万件程度を目安とする。
⑤ 本機構の年次報告書及び環境報告書を作成し,本機構の活動実績について,ホームページ等を活用し,引き続き 公表する。
⑥ 職員の倫理,セクシュアルハラスメント,機器調達契約等の守るべきガイドラインを一層周知徹底し,必要に応 じて改定する。
⑦ 各研究所等は,研究成果について年次報告を作成し,活動実績について,大学を始め関係機関等へ周知する。
⑧ 研究所等の一般公開を定期的に実施し,参加者やスタッフのアンケート調査等の結果を踏まえて,公開内容や公 開方法の改善に引き続き努める。
⑨ 一般市民向け公開講演会を積極的に実施して科学の普及活動に努める。また,地域社会と連携した一般市民向け の公開講座を実施する。更に科学館等における研究活動の紹介や地域の学校との教育連携活動を実施する。
⑩ 各研究所等で研究所アーカイブスあるいは研究活動の記録を引き続き整備する。
V その他業務運営に関する重要目標を達成するためにとるべき措置
1 施設設備の整備等に関する目標を達成するための措置
① 引き続き施設マネジメント・ポリシーに基づき施設実態調査を行い,施設の有効活用を推進する。
② 施設・設備の定期的な点検により,緊急度の高いものより計画的に整備を行う。
③ 引き続き省エネルギー対策及びリサイクル材の使用に努める。構内バリアフリー化を推進する。
④ 施設の安全で効率的な管理・運営のため,施設・設備の利用計画,維持管理計画の作成・見直しを引き続き行う。
2 安全管理に関する目標を達成するための措置
① 安全衛生連絡会議を引き続き開催するとともに,各研究所等においても引き続き安全衛生委員会を開催し,安全 管理に必要な健康診断・作業環境測定・定期自主検査・作業場の巡視等を計画的に実施する。
② 危機管理体制の充実を図るとともに,各研究所等において安全管理に関する対応マニュアルの見直しを引き続き 行う。
③ 各種保険等の契約内容を引き続き見直し,更なる充実を図る。
④ 定時退勤日を設けるなど勤務時間の適正化に引き続き努めるとともに,メンタルヘルスに係る対策等を行う。
⑤ 講習会等に積極的に参加させ,種々の資格取得者の育成を図る。